相続登記の義務化と2024年までに施行される制度を解説

土地の所有者を調べるときに、所有者がすでに亡くなっていて現在の所有者がわからないといったことがあります。相続時に相続人の登記を怠ったことが原因ですが、今まで任意であった相続登記が2024年より義務化されることになりました。この記事では、相続登記の義務化と2024年に施行されるポイントについて解説します。

 

□なぜ相続登記は義務化された?注意点や背景を解説

一般的には不動産を相続する場合、名義変更などが必要となりますので相続登記を行わなければいけません。しかし、今まではもし相続登記を行わなかったとしても特に罰則がありませんでしたので、何代も前から相続登記をしておらず手が付けられない状態になっている、遺産分割がまとまらず登記ができない、などの理由で相続登記が行われていないケースなども見受けられました。

 

しかし、2021年4月に参議院本会議で改正不動産登記法などの関連法案が可決し、相続登記の義務化と一定期間以内に手続きを行わなかった場合過料が科されることになりました。2024年からの施行となりますが、なぜ相続登記を義務化する流れになったのでしょうか。

 

最も大きな要因は、所有者不明の土地があるために不動産の流通が進まないといった側面が挙げられます。相続した土地は既に所有者が亡くなっていますので、勝手に第三者に売却されるといったリスクはありません。つまり相続した土地をそのまま所有しつづけるのであれば、相続登記を行い、所有権を明示するメリットがなく、登記に関する費用をかける必要性を感じない人が多かったといえます。

 

相続登記がされていないために、開発計画が進まない場合や、建物の劣化などで廃墟化した場合の対応などで大きな問題となることが増えてきたのです。このような中、相続登記を義務化することにより、所有者不明の不動産を減少させる目的が背景として挙げられます。

 

相続登記の義務化は2024年施行ですので2021年11月現在まだ少し時間がありますが、施行されると相続発生から3年以内には相続登記を行わなければいけません。もし相続登記を行わなければ10万円以下の過料を科せられます。今後、不動産を相続する可能性がある人は十分注意しておかなければいけないポイントといえるでしょう。

 

□相続未登記の不動産を親が所有している場合の対処方法

もし、自分の親が所有している土地に相続で未登記の不動産があった場合、どのような対処方法があるのでしょうか。まずは、今の所有者が誰になっているのかを登記簿などで確認しなければいけません。ケースによっては何代もさかのぼることとなってしまい、非常に大きな労力や費用がかかってしまうことも考えられます。

 

多くの場合は司法書士などに依頼して相続登記を行いますが、基本的に相続登記などは個人でも行うことは可能です。すでに相続未登記となっている不動産の相続登記を行う場合、個人で行うには非常にハードルが高いですので、司法書士などに依頼する方がいいでしょう。

 

□まとめ

相続登記が義務化されることにより、今後不動産の流通が活発化する可能性も高まります。

ご自身が将来相続予定の不動産がすでに未登記の状態などの場合は、現時点で相続登記を促しましょう。2世代に渡り未登記となると費用や手間の面で負担を感じるかもしれません。登記が義務化される前の対策が非常に重要なポイントです。